「一番笑えて、現代社会を風刺する昔話はこれだ」
私が、今までで読んだ昔ばなしで一番笑えたお話を紹介したいと思います。
私が読んだのはアンデルセンの童話とかグリム童話、日本の昔話などです。
その中で兎に角、一番大笑いできて、それこそお腹を抱えて笑ったと言えるお話しです。
それでは、発表いたします。
笑える部門、第一位は・・・。
それは、「日本の昔話 上 稲田浩二 編 」筑摩書房発行の「戸板と盗人(原題 うすのろの爺と婆)」です。
この昔話は、本当に可笑しかったです。
昔話と言うと、教訓や訓話のイメージも有りますが、これが本当に可笑しいんです。
お話自体は、ほんの三四ページしかない、とても短いものなんですが。
テンポが良くて、無駄な所が一切なくて、あっという間なんですがそれが良いんでしょうね。
簡単に言うと、おじいさんと、おばあさんが老後の生活の為に一生懸命に貯めていたお金を悪い盗人に騙されて盗まれてしまうと言うお話なのですが。
その婆と爺が、まるで漫才やコントのコンビのようで、その場面が、容易に映像として想像できるんです。
余りの可笑しさに声を出して笑ってしまうと思うのですが。
興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
この本は、昔話を元にしての童話とは違って語り手が話した昔話を出来るだけそのままの形で本にしているので少し読みにくいかもしれませんが。
「戸板と盗人」一編だけでも読んでみる価値のある本だと思います。
しかし、このお話しは。
なにか現代の「オレオレ詐欺」や「年金2000万円問題」とも共通する、わりと深刻で切実な問題を内包しているとも言えると思うのです。
そう考えると、とても笑ってはいられない話なのです。
この話の中の爺と婆は、年金などなかった昔の話ですから、年寄りに成ったときの為にと、お金をためているのですが、そのお金を悪党たちに盗まれてしまうんです。
何だか、まるで現代の日本の事のような話ではないですか。
しかし、現代の日本が昔話と全く同じだという事に愕然としないでしょうか?
おいおい、日本は大丈夫なのかよ?
現代の日本は、昔話の世の中に逆戻りしているぞ!という事ですけど。
でも、この昔話を読むと、ちゃんと落ちが有るんですね。
世の中には、昔から弱い庶民を苦しめる悪党たちがいて。
その、悪党たちをビックリ仰天させられるのも、また同じ庶民たちだという事なんです。
なんだか、私はこの昔話は今の日本人に対して示唆を与えているとも思えます。
昔話の世界から日本を現代の社会に取り戻すためには多くの人々が、危機意識を持って投票に行き政治に参加する事だと私は思うんですね。
果たして、次の選挙では多くの方が他人事ではなく自分の為に投票と言う形で政治に参加してくれるのでしょうか?
もしそうでないと、日本は本当に昔話の国に成ってしまいますよ・・・。