「妖怪と何かは闇夜に出る?」
あれは確か、そう、ちょうど六月の下旬ぐらいの季節のある日の事でした。
夕暮れ近くに集合場所に集まり男女数人で蛍を見に行った時の事です。
辺りが暗くなるのを待ち、みんなで蛍がいる場所をめざして山道を歩いて行ったんです。
道は、舗装もされていないような細い道で。
漆黒の闇と言うほどではないもののそばに人がいる程度は分かりますが、その人の表情までは分からない位の闇でした。
皆で、何やかや話ながら歩いて行くと、一人の女子が、ピタット立ち止まったのです。
そして「道の先に何かいる」と言うんですね。
「えっ、」と言ってみんなも立ち止まりました。
そして、道の先を見たんですけれども、誰も何も見えないんです。
誰かが、「何もいないよ」と言っても。
その女子は、やっぱり何かがいると言って、その場所から動こうとはしないんです。
男子の一人が懐中電灯を道の先に当てても、誰も何がいるのかさっぱり分からない。
それで、男子の一人が恐る恐る道の先に行ってみると、なんとそこには、マムちゃん、がいたんです。
マムちゃんと言っても「じじい、ばばあ、コノヤロー」とラジオで言っているあのマムちゃんの方ではない、マムちゃんが、いらしたんですね。
それで、男子の一人が俺がどかしてくると言って、そっと道の外へお引き取り頂いてからみんなで、蛍を見に行ったことが有ったんです。
でも、不思議ですよね。その女子以外には、誰も暗闇の先に、そんなものがいるなんて事は思わずに歩いていたのに。
なぜ、その女子だけには分かったのでしょうか?
まあ、山道だし、なにか出てくるんじゃないかと気を付けて歩いていたという事もあるでしょうし。
他にも、いろいろと理由は考えられますが、なにか、察知すると言うか感覚みたいなものもあったのかも知れませんね。
そのように考えると。普通の人よりは、特別な感覚や能力と言うものを持つ人もいるのかな何て事も考えたりもします。
たとえば「ゲゲゲの鬼太郎」のような妖怪漫画を描いていた水木しげるさん。
水木さんなどは、本当に妖怪が見えて居たり、感覚で何か妖怪のようなものを察知していたのかな、なんて思ったりもします。
それに水木さんは、戦時中に南洋の人たちと、とても仲良くなり。
日本へは帰らずにジャングルで私たちと、一緒に暮らそう何ていわれたほどだから、精霊や妖怪たちとも通じ合える特殊能力の持ち主だったのかな何て事を考えたりもします。
きっと水木さんならば、今の日本の政治を見て、姿かたちは人なれも、その心根は見るも怖ろしい妖怪たちで有ると見抜いていて、こんな日本ならば、よほど南洋のジャングルの方が楽園だったと思ったかもしれませんね。